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ビジネス・モデル特許:日米の相違

(1)技術とアートについて

 ビジネス・モデル(BM)特許において先行する米国企業に対し、追う立場の日本企業も積極的に取り組み始めた。だが一部の企業の間には否定的な見解も根強く残る。

日本特許法に従えば、「発明とは自然法則を利用した技術的思想の創作のうち、高度のものをいう」(第2条)と定義される。E−コマースや金融システムのビジネス方法を「自然法則を利用した技術的思想の創作」と呼ぶには抵抗を覚えるのが当然であろう。だからBM特許に対し否定的な立場をとることは不思議なことではない。

日本特許法における定義は、英国法を源流とする立派な文理で構成される。従来は実務的にも機能した。だがBM特許を機に、この立派な定義が逆に規制となって実務を悩ませる。

これに対し米国特許法は、発明に関する明確な定義を置かない。その理由は、発明の本質を意外性と認識するためである。米国における発明の原点を求めれば、連邦憲法において、発明は広く「アート」と表現される。

それでは「アート」とは一体何であろうか。米国で最も信頼されるWebster社の辞書に従えば、アートは、次の事項を含む概念である。(1)物をつくる人間の能力、(2)自然界と異なる人間の創造性、(3)技能・芸能、(4)人間の創造性により創生された作品、(5)学習。つまりアートとは、「自然ではない人間による創造」という開放的な概念である。そこには「技術的思想」のごとき明確な限定条件は見られない。だから米国の特許実務は、BM特許に対する抵抗感が希薄である。

            米国憲法が、発明の本質を表現する用語として、限定的な「技術」に代えて開放的な「アート」を選んだのは、独立宣言の草案者であり、後の第3代大統領トーマス・ジェファーソンと言われる。彼は一流の発明家としても知られた人物である。

BM特許の種は、トーマス・ジェファーソンによって蒔かれたと言うことができるのではあるまいか。

                                                            (完)

 

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