|
|
|
|
米国知財事情 |
|
|
ビジネスモデル特許に関し、米国企業は世界を先導する。何故だろうか。 ビジネスモデル特許が世界の注目を集めたのは、1998年7月のステート・ストリート銀行事件がきっかけであった。ここでコンピュータを用いた大型投資に関するビジネス・システムに関する特許が有効と認められた。 だが、米国ビジネスモデル特許の歴史は古く、1908年のホテル・セキュリティ事件に遡る。ここでは、従業員による不正行為を防止するための請求書の重複管理に関する会計方法に関する特許が争われた。つまり、ビジネスモデル特許は、コンピュータが出現する以前から存在した実務であった。従って、米国はビジネスモデル特許の歴史において100年近くも他国に先行する。 それでは、この100年の歴史の差が米国企業がビジネスモデル特許において他国に優先する唯一の原因であろうか。時間の差だけならば、努力次第で日本企業もやがて追いつくことが可能であろう。かつての自動車や電気製品のように。 だが、先行する米国企業の特許戦略を詳細に見るとき、そこには単なる時間の差を超えた質的な差を見ることができる。 日本を含めドイツ法をモデルとする諸国は、発明の本質を技術の進歩性に求める傾向が強い。事実日本の特許法は、発明を「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち、高度のものをいう」と定義する。このため、日本において特許を得るための最大の課題は、技術の進歩性である。 その結果、日本においては、純粋技術の進歩を追求するサイエンスと産業政策としてのパテントとの間の境が不明瞭である。 これに対し、米国における発明の本質は、社会への有用性である。進歩性という概念は存在しない。代わって求められているのは、非自明性である。つまり、従来技術と比較して、変わっていればよい。事実米国特許法は、発明を単なる技術(エンジニアリング)ではなく、広くアートと表現する。だからビジネスモデルを特許に含めることに違和感がない。 ビジネスモデル特許で世界をリードする米国企業の例を見れば、アマゾン・ドット・コム、プライス・ライン、シティ・バンク、デル・コンピュータ・・・いづれも技術の進歩性より社会への有用性を徹底的に重視していることが明白である。 日本企業が本格的にビジネスモデル特許に取り組み、成果を挙げるためには、発明の本質から考え直すべきではなかろうか。(完) |
| 米国知財事情へ戻る |