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ビジネス特許情報 |
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第1部 ビジネス特許とは何か
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1.イントロダクション a.方法 15世紀のベネチア共和国にまでさかのぼる長い特許の歴史の中で、発明とは何かという論争がしばしば繰り返された。 正規の記録に残る最も古い論争は、18世紀におけるイギリスである。イギリスの専売条例が産業革命のきっかけとなったことは広く知られていることである。この時代、世界の産業の歴史を変えるターニング・ポイントとなった技術革新の一つにジェームス・ワットの発明による蒸気機関がある。 ところが、ワットの発明の実体は、蒸気を用いた機関の燃焼効率を改善するための「方法」であった。現代の実務においては、方法が特許の対象となることに疑問を挟む者はいないであろう。だが、当時のイギリスでは、経済界全体を揺り動かす大論争に発展したのである。 一体何故か。 その頃の特許実務においては、発明とは、販売可能な新製品に限られていた。つまり、衣類、工具、薬品、日用品等、物理的な実体を備え、商店において販売の対象となる商品だけが特許発明の対象と認められていたのである。 ワットの蒸気機関の燃焼効率を改善する方法を用いれば、燃料の消費は遥かに低減することが可能となる。素晴らしい技術である。だが、方法は物理的実体を伴わない。「方法」そのものは、商店での販売に馴染まない。 ワット事件は、国際的な注目を集めた中で、方法も物理的製品と同様、他の審査要件を備えれば、特許の対象となるとの判決を得て解決した。発明家ジェームス・ワットの名声は、全ヨーロッパ中に広がり、この判例は、リーディング・ケースとなって、欧米特許の実務を先導した。 方法特許の活性化が、その後のイギリスの産業革命に展開に大きな影響を与えたことに疑問の余地はあるまい。 b.微生物 ワットの事件から200年を経過した1980年、米国連邦最高裁は、微生物の発明に関し、特許の歴史を書き改める判決を下した。チャクラバーティ事件と呼ばれる特許事件は、黎明期にあったバイオ産業界に衝撃を与えた。 当時の米国特許実務に従えば、生物は特許の対象にならないとの認識が一般的であった。これに対し、最高裁は強い疑問を投げかけた。 特許法には、生物は特許発明の対象とはならないとの規定は見当たらない。米国独立宣言を作成した第3代大統領トーマス・ジェファーソンの草案による米国特許法は、「この太陽の下、人間が創生したいかなる発明も保護する」との精神に支えられた社会制度である。米国の産業は、この積極的な特許強化政策により活性化し、驚異的な発展を成し遂げた。 天然に存在するバクテリアでは効果が不安定であったタンカー事故による原油の処理が、チャクラバーティ博士によって開発された新種のバクテリアによって効率的に処理可能となる。この発明によって、すべての人類が恩恵に浴することが可能となる。 最高裁による判決は次の通りである。特許の対象になるかいなかの基準は、生物であるかいなかではなく、自然物であるか、あるいは人間によって創製されたかいなかによって判断しなければならない。チャクラバーティ博士は、原油を消化するバクテリアの新種を開発した。この種のバクテリアは自然界には存在せず、人間の手によって創製されたものである。従って、特許を拒否する理由は存在しない。 こうしてチャクラバーティ博士による微生物の発明にも特許権が認められた。この事件をきっかけに、遺伝子操作、クローン技術等、バイオの研究における競争が活発になったのは言うまでもない。 c.コンピュータ・プログラム 続く1981年、同じ連邦最高裁は、ディーア事件において、コンピュータ・プログラムをめぐる大論争に結論を下すのである。従前、コンピュータ・プログラムは、数学的計算方式に過ぎないとして、独占権の対象から外されていた。 ディーア事件における発明は、ゴムのキュアリング方法に関する技術である。キュアリングを最も効率的に行う条件を自動的に計算するために開発されたコンピュータ・プログラムを含むゴムの処理方法は、果たして特許発明として独占の対象になるのであろうか。 大論争の果て、最高裁は5対4の僅差であったが、特許を許す判決を下した。論理の展開は次の通りである。 まず、特許法の精神に従えば、数学的計算方式は、発明の内容が抽象的な原理そのものである限り、個人の独占の対象とはなり得ない。しかしながら、発明が全体として、物理的手段と不可分の関係にあるとき、数学的計算方式を含む発明であっても、抽象的概念の域を超えることができる。本件発明は、原理としての数学的計算方式自体に独占権を求めるわけではなく、コンピュータという物理的手段と一体化したゴムの処理方法に独占権を求めるのみである。従って、このゴムの処理方法に特許を与えることは、特許法の精神に反しない。 ディーア事件をきっかけに、長年の論争は一段落し、今、コンピュータ・プログラムは、米国に限らず、ヨーロッパ、アジア諸国を含め、広く特許の対象として国際的に認知されるにいたった。 バイオと、コンピュータ・プログラムが特許の対象になるとの認識は、嵐のように産業界に大きな波紋を投げかけた。それまで、タブーのごとく、閉ざされていた技術分野が、次々に注目を集め始めた。伝統的な特許実務に携わる人達にとっては、これらの動きは、やや非常識に見えたことであろう。 だが、米国特許実務を先導する連邦高裁は指摘する。特許は、産業の発展に貢献することを目的に制定された制度である。このため、産業の発展に貢献するいかなる発明も保護の対象から除外してはならない。発明がそれまでの常識から見て、意外であるとの理由で特許の対象から外すのは危険である。何故なら、発明の本質は、意外性にあるのだから。 d.ビジネス特許 この一連の激しい動きの中で、現代社会が直面した最も衝撃的な新分野が、ビジネス特許である。注目を集めた事件の動きを整理してみよう。 ビジネス特許が現代経済社会において注目を集めたのは、1998年7月、ステート・ストリート事件がきっかけである。「ハブ・アンド・スポーク」と呼ばれる投資管理方法に関する特許の権利者であるシグネチュア社は、この投資管理方法を用いて、投資の急速な大型化を実現した。実施権を求めるステート・ストリート銀行は、シグネチュア社との交渉に行き詰まった結果、特許権無効を主張して自ら確認訴訟を提起した。連邦地裁は、ステート・ストリート銀行の主張を認め、ビジネス方法は、特許権の対象とはなり得ないとして、特許権無効を宣言した。ところが、連邦高裁は、これを破棄、特許権有効の判決を下したのである。 特許を専門とする連邦高裁(CAFC)が、投資管理方法に関するビジネス特許を有効な権利と認めたステート・ストリート事件は、米国に限らず、日本、ヨーロッパの国際経済社会にとって衝撃的な出来事であった。その衝撃は、巨大な波紋となって、経済界を揺り動かし始めた。代表例を挙げてみよう。 1999年10月、アマゾン・ドット・コム社によるネット販売方法に関する特許に関し、ライバル企業であるバーンズ・アンド・ノーブル社を提訴した。この事件は異例のスピードで処理され、何と同年12月1日には、仮処分が下された。バーンズ・アンド・ノーブル社は、アマゾン社特許にかかわるネット販売方法を差し止められたわけである。 ATT社は、電話料金の割り引き方法に関し、エクセル・コミュニケーション社を特許第5,333,184号侵害で提訴した。1996年のことである。連邦地裁は、エクセルの主張を認め、同特許は、発明の対象とならない数学的算定方式を用いたビジネス・メソッドであるとして、権利無効の判決を下した。ところが、1999年10月、連邦高裁(CAFC)は、ATT社特許は、電話料金の割引という具体的、物理的、かつ有用な結果をともなう発明であり、特許の対象になると認定、地裁判決を逆転した。地裁に差し戻されたこの事件は、結局、MCI社が既に公開した「フレンズ・アンド・ファミリー」と呼ばれる方式に基づき公知であると認定され、権利は無効とされた。結論は、特許権は無効と認定されたが、特許発明の対象となることが確認された点で、この事件は、ビジネス特許を支持する重要な判例である。 1999年10月13日、プライス・ライン社は、逆オークションに関するビジネス特許を根拠に、マイクロ・ソフト社およびその子会社エクスペディア社をコネティカット州連邦地方裁判所に提訴した。業界の先端を行く巨大組織であるマイクロ・ソフト社に対し、プライス・ライン社は社員200名、創立2年という幼い企業である。マイクロ・ソフトは、特許戦争に限定せず、株式買取等あらゆる手段を用いて全面的に対抗するであろう。だが、プライス・ラインを率いる会長ジェイ・ウォーカーは、今、ビジネス特許のニュー・リーダーとして名乗りを上げた硬派の経営者である。小粒だがあなどれない。この対決は、ビジネス特許の将来を知る上で注目を集めている。(この事件の詳細に関しては、第3部 4.を参照されたい) ニュージーランドの女性発明家、ハリングトンは、ネット販売方法特許(第5,895,454号)に関し、ヤフーを提訴した。実は、この事件は、個人発明家の代理人として、特許管理会社SBH社が提訴した点で関心を集めている。つまりSBH社は、無料で事件を請負い、勝訴あるいは和解で収入を得た段階で所定の割合で支払いを受ける。いわゆる成功報酬に基づく契約である。 米国特許の実務では珍しい契約ではないが、ビジネス特許に基づく大型の訴訟としては、初のケースである。SBHが成功を収めた暁には、多数の特許管理会社、あるいは特許弁護士がこのビジネスに参入することになるであろう。 米国を震源地とするこの巨大な波紋は、次第に国際経済社会を飲み込むことになるであろう。特に、ボーダーレスを特徴とするインターネット・ビジネスに関しては、ビジネス特許をめぐる国際的な競争が、急速に過激になることを避けられまい。 方法特許、バイオ、そしてコンピュータ・プログラムの特許性が争われたように、今、ビジネス特許の特許性が激しく争われている。多くの企業家にとって、ビジネス特許は未だ不明な部分が多く、戸惑いを禁じ得まい。 だが、大きな歴史の波は変わるまい。その歴史の流れの中で、方法、バイオ、コンピュータ・プログラムがすでに特許として定着したごとく、ビジネス特許が国際経済社会に定着するのは、時間の問題であるように思われる。 a.ビジネス特許の定義 ビジネス特許は、主としてコンピュータを活用してビジネスを行う方法、あるいはその方法を実施するためのシステムを発明の対象として保護する特許である。 分かりやすく言えば、ビジネス特許とは、電子商取引に関する新しい方法、あるいはシステムに関する特許である。 商取引の対象は広く、ネット販売、金融、会計、投資、入札、人材紹介、代理業務、諸サービス業務等、現代社会における経済活動のあらゆる分野が含まれる。事実,ビジネス特許は、発明の内容により、様々に類別される。
米国においては、ビジネス・メソッドの名称が最も一般的であるが、ここでは、用語を総称としての「ビジネス特許」に統一する。 今注目を集めるビジネス特許は、概ねコンピュータ、特にインターネットの普及に伴い開発された技術にかかわるため、米国実務においては、上記のごとく説明されるのが一般的である。 ところが、ビジネス特許の奥はさらに深く、その起源は、実はコンピュータの出現より遥か以前にさかのぼる。ビジネス特許の本質を理解するために、その背景となる歴史を簡単に振り返ってみよう。 ビジネス特許が米国で最初に注目を集めたのは、1908年、ホテル・セキュリティ事件である。ホテル・セキュリティ社は、レストランにおける経理処理方法に関し、特許を取得した。発明は、レストラン従業員による不正行為を防止するための帳簿管理方法である。具体的には、ウエイターとマネジャーが連続番号を付した二枚つづりの伝票を持つことにより、注文はすべて集中管理可能となる。 激しい論争の末、第二地区連邦高裁は、この経理処理方法に関する特許権は無効であるとの判決を下した。この判例がきっかけとなって、米国実務においては、ビジネス方法は特許の対象とはなり得ないとの判例法上のルールが定着した。 b.ビジネス方法除外の原則 このルールは、「ビジネス方法除外の原則」(Business Method Exception)と呼ばれ、米国特許実務を長年にわたって支配した。 ところが、1998年7月、特許を専門とする特別連邦高裁(CAFC)は、ハブ・アンド・スポークと呼ばれる投資管理方法をめぐるステート・ストリート事件において、ビジネス方法の特許性に関する意外な事実を指摘して、実務家達を驚かせた。ホテル・セキュリティ事件に戻ってみよう。 ホテル・セキュリティ事件において、被告は、ホテル・セキュリティ社の特許は、二つの理由により特許無効であると主張して反撃した。第一に、経理処理方法は、科学技術の範疇に入らず、特許発明の対象とはなり得ない。第二に、この種の経理処理方法は、既に社会において公然知られた会計実務であり、特許の要件である新規性に欠ける。 連邦高裁は、被告の主張を認め、特許無効を宣告した。だが、判決を詳細に分析すると、意外な事実が判明した。判決においては、第一の理由に関し、被告の主張に同意するコメントを残しながら、実際の判決理由は、第二の、公知のみが挙げられていた。つまり、「ビジネス方法は特許の対象とはなり得ない」との理由は、判決の根拠としては、挙げられていなかったのである。 信じられないような事実であるが、実は長い間、ビジネス方法除外の原則の発端とされていたホテル・セキュリティ事件においては、ビジネス方法が特許の対象とはなり得ないとの明確な判決は下していないのである。つまり、判例法としての根拠は、完全に覆されたのである。 c. ビジネス方法の特許要件 ここで、再び、1998年7月のステート・ストリート銀行事件に話を転じなければならない。連邦高裁ニューマン判事は指摘した。 米国判例法を詳細に検討すれば、「ビジネス方法除外の原則」には、明確な判例法上の根拠はない。制定法である連邦特許法第101条には、特許の対象となる発明として、5つの種類が挙げられている。
これらに相当する発明である限り、特許発明の対象としての適格を有するものと解すべきである。判例法が明確に特許を禁ずる例外は3つに限られる。自然現象、自然法則、そして抽象的概念である。米国特許法の創始者、トーマス・ジェファーソンは、「太陽の下、人間が創作したあらゆる種類の発明は保護に値する」と述べた。司法機関が勝手にその精神を狭く解することは許されない。 特許を受けるためには、特許発明の対象となる資格を有する他に、次の3つの条件を満たさなければならない。
ビジネス特許は、その発明が方法、システム(機械)、あるいは改良のいづれであるにせよ、電気製品や自動車等、他の種類の発明と区別して審査するのは不当である。ビジネス方法が他の特許要件(新規性、非自明性、開示)を満たしている限りにおいて、特許を拒否する理由は存在しない。 ビジネス特許は、内容がビジネスに関する方法、あるいはシステムであることを理由に拒否される理由はない。ビジネス特許の内容が、自然法則、自然現象、あるいは抽象的概念に過ぎない場合は、それらの理由によって拒絶されるべきである。 こうして、「ビジネス方法除外の原則」は、あっけなく崩壊した。従って、ビジネス方法に関する発明であっても、他の発明と同様の条件で審査を受け、他の要件を満たす限りにおいて、特許の対象となることが確認された。 3.ビジネス特許の種類 a.内容に基づく種類 コンピュータを活用するビジネス特許は、新しい産業である。そこでは常に規制にとらわれない新たな種類が続々と生み出されている。このため、すべてのビジネス特許を正確に分類することは不可能に近い作業である。ここでは、現時点での代表的、かつ経済的影響度の高いビジネス特許の特徴を整理しておこう。 i.ネット販売 販売業者は、インターネット上のホームページに商品を紹介し、顧客は、希望の商品を指定し、インターネットを介して、業者に発注する。受注を受けた業者は、顧客に対し、受注を確認して取引を完了する。商品は、サプライヤーから直接顧客に送達される。中間マージンを省略できるため、通常の市場価格より、遥かに低価で商品を提供することが可能となる。 よく知られたところでは、アマゾン・ドット・コム社が取得したネット販売方式に関する特許第5,960,411号がある。インターネット上の商品リストから注文品を仮想の買い物籠(ショッピング・カート)に詰めた顧客が、最後に必要なデータ(名前、住所、クレジット・カード番号等)を業者に送信して発注する。クレジット・カード番号は、初回に登録すれば、次回からは登録番号を記載するだけで済み、一回の送信(ワン・クリック方式)で取引を完了することができる。しかも、クレジット・カードに関する交信は、暗号化されて送信されるため、途中で番号盗難の危険を回避することも可能である。 アマゾン社は、1999年10月、最大の競業企業であるバーンズ・アンド・ノーブル社に対し、特許侵害訴訟を提起した。ワシントン州連邦地裁は、アマゾン社の主張を基本的に認め、クリスマス商戦を直前に控えた同年12月1日、バーンズ社に対し、仮処分を命ずる決定をくだした。 アマゾン社は本訴においても勝訴が予想される。本訴における勝訴が確定した時点で、さらに多数の競業企業に対し、法的措置をとるものと予測される。 この他、ネット販売でよく知られたところでは、Buy.comがある。商品の範囲の広さで他を圧倒する。 ii.バーチャル・モール方式 複数の販売業者が合体し、仮想のモールを構成する。顧客は、一つのモールにアクセスすれば、そのモール内で簡単に多数の販売業者のホームページにアクセスすることが可能となる。モール所有者は、モール全体を宣伝し、各販売業者は、モールの所有者に対し、モールの権利金および使用料を支払うのが普通である。使用料は、定価あるいは売上のパーセンテージに応じて、支払うことになる。販売業者としては、モールに参加することにより、単独でホームページを開く場合と比較して顧客からのアクセス回数は遥かに多くなる。 典型的なバーチャル・モールの特許としては、ウェグナー・インターネット・プロジェクツ社による第5,737,533号が知られている。 iii.オークション方式 販売業者が商品をホームページに紹介し、一定期間内に最高価格を申し入れた顧客との間に取引が成立する。企業対個人間に限らず、個人同士の間でも、この方式は驚異的な成長を見せている。 最も知られたところでは、E-Bay社によるオークションは、商品の種類の豊富な点で圧倒的である。 この他、オンセール社による方式は、個人間の売買を業者のホームページを介してオークションの形態で行い、業者は仲介手数料を徴収する。(米国特許第5,835,896号:巻末資料9参照) iv.逆オークション方式 プライス・ライン社が開発した方式。顧客が価格を指定して、販売業者からの申し入れを待って取引を行う方式。通常の商品以外にも、飛行機切符、ホテル予約等、あらゆる業務に応用可能である。逆オークションの普及により、これまで埋もれていた取引が可能となった点で、経済の活性化に貢献しているものと思われる。特に、飛行機切符の値段を顧客が指定し、航空会社が応札する方式は、画期的であり、スタート当初より爆発的な人気を呼んだ。最初の90日間で、1000万ドルを超える売上を達成したと報告されている。 プライス・ライン社の特許活動は活発を極め、現時点で逆オークション方式に関し、3件の特許(米国特許第5,794,207号、第5,797,127号、第5,897,620号)を取得した他、17件の出願が継続中である。これらの中でも、第5,794,207号(特許は、基本特許であり、プライス・ライン社の保有するパテント・ポートフォリオの中核と見られる。 なお、プライス・ライン社は、1999年10月マイクロ・ソフト社によるホテル予約サービスを特許侵害として、マイクロ・ソフトおよびその子会社であるエクスペディア社を提訴した。この訴訟の結果次第では、プライス・ライン社は、さらに多数の競業企業に対し、ライセンス料の要求、拒否する企業に対しては、提訴の手続きを進めるものと予測される。 v.投資システム シグネチュア社が保有する特許第5,193,056号。自転車の車軸(ハブ)に相当するパートナーとしての大型投資機関を中心に、複数の投資基金(ミューチュアル・ファンド)がスポークのように広がる組織をコンピュータにより管理する方式。各ファンドに所属する個人投資家達は、コンピュータを介して、日々の投資状況に関する情報をリアルタイムで正確に把握することが可能となる。 投資家達は、自己の投資状況を時々刻々知り、最適のファンドを選択することが可能となり、さらに税金対策においても投資の管理が容易となる。このため、シグネチュア方式は、急速に米国投資機関の間に普及し、1990年代後半における米国株式の高騰を支える要素となった。最近の日本の株式における米国資金の流入に関しても、シグネチュア方式は無縁ではない。 ステート・ストリート銀行との訴訟におけるシグネチュア社の勝訴判決は、ビジネス特許に関するターニング・ポイントとして歴史に刻み込まれることであろう。(State Street Bank & Trust v Signature Finacial Group, Inc., 47USPQ2d. 1596) vi.電子マネー 商取引にかかわる決済をすべてコンピュータで処理することができれば、現金、クレジット・カードの類はすべて不要となる。コンピュータは、超薄型CPUを搭載した小型キーボード、あるいは非接触型カードのような形式をとることにより、常に携帯することも可能となる。ビジネス・メソッドが急速に高度化する時代の流れを見るとき、財布に代えて、電子マネーまたは電子パースが普及する日は遠くないものと思われる。 代表例としては、シティ・バンクの所有する特許第5,455,407号を挙げることができる。 vi.注文生産方式 コンピュータの購買者は、その能力と使用目的によって、PCについて様々な仕様を好む場合が少なくない。デル・コンピュータ社は、この事実に注目した。デル社は、インターネットを介して、顧客の好む仕様を受け付け、72時間以内にカスタム・メードのコンピュータを出荷する。この注文生産方式は、コンピュータに通じた若者の間で人気を集めた。 デル社は、この方式を、"Build-to-order business model"と名づけて特許第5,894,571号(巻末資料13参照)、第5,991,543号、第5,995,757号を取得した。さらに出願を重ね、限在では、総計42件の特許および出願を保有する。 なお、デル社は、これらの特許を活用することにより、IBM社との間で1999年3月、クロス・ライセンスを含む160億ドルという巨額のOEM契約を締結することに成功した。 viii.デリヴァティヴ(金融派生商品) コロンビア大学が開発したデリヴァティヴに関する価格と利息等に関する計算手法を基礎とするビジネス特許である。モンテカルロ手法で積分を評価する上で乱数に代え、ランダム性のない数列を活用することにより、正確な計算を可能とした点で評価される。(第5,940,810号) b.取引主体に基づく種類 コンピュータを用いたビジネス方法は、取引の主体に応じて、次の3つの種類に分けられる。 i. "b to b" (business to business) ビジネスを営む企業間の取引である。企業が求める製品、部品、資本、雇用、そしてサービスを企業間において、取引の対象とするビジネス方法、ないしシステムである。この形態は、一般消費者とは直接の関係はないが、取引規模が大きいため、経済的スケールにおいて、他の種類を遥かに凌駕する。 "b to b"ビジネス・メソッドは、企業間の金融取引、部品調達、投資行為等に関し、積極的に活用され始めた。例えば、GE社の照明事業部の調達部門は、インターネットを活用することにより、サプライヤーに見積もり書類を出すまでの期間を7日から2時間に短縮することにより、調達部門の人件費を30%、材料費も20%削減できたという。 シスコ・システム社は、トヨタ自動車のジャスト・イン・タイム方式を情報テクノロジーで拡張し、製品を外部の向上に委託生産し、自社のブランドで販売する。顧客情報は毎日更新されており、セールスマンの効率や決定権を拡張して業績を急速に伸ばした。シスコ社の株式の成長率は、過去10年間で約1000倍と、米国企業中最大である。 ii. "b to c" (business to consumer) 企業と一般顧客との間の取引である。通常のネット販売、投資、オークション等がこの態様に該当する。取引の回数から見れば、最大の利用頻度になるであろう。従って、この種のビジネス特許の社会的な影響度は、計り知れない。 アメリカン航空は予約状況の悪い路線をインターネットで週末特別割引便として売り出し、数千万ドルにおよぶ売上増を達成した。 ウエルス・ファーゴ銀行は、インターネット・バンキングを導入することにより、一回当たりの取引コストを窓口での1ドルから、百分の一の1セントに引き下げることに成功した。 自動車小売業のオートバイトル社は、インターネットを活用することにより、車1台当たりの販売経費を、1,000ドルから200ドルに引き下げた。 iii. "c to c" (consumer to consumer) 一般顧客同士の間における取引である。つまり、商品の売買、交換、サービス、紹介等、個人的なニーズに従って、新種のビジネスが続々生まれることになるであろう。 米国では、既にイーベイ社が個人間の取引をオークション形式で拡張し、急激な勢いで成長を見せている。 |
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